相手を理解するためには共感が必要と思われています。しかし、共感とはコミュニケーションを円滑にする手段のひとつにすぎません。
人の気持ちを理解はできるが共感できない人は意外と多いです。
今回は、理解はできるが共感できない人の特徴や男女での違いや、「理解・共感・賛成・納得」の違い。さらに、理解はできるが共感できないタイプと相性のよい人を紹介します。
理解、共感、賛成、納得の違い
「理解」とは、ものごとをあるがままに受け入れ、感情をともなわない頭のなかの認識。一方、理解を前提とした感情の表出が「共感」です。
共感は、ときに相手の意見を支持する「賛成」や、根拠の理解をふくめた「納得」などの態度にあらわれます。
すべてものごとに対する理解が前提になります。しかし、理解のしかたは人それぞれです。
理解が正しいか、誤っているかに他人が介入してしまうと、共感や賛成・納得までにいたらないケースがあります。
たとえば、老朽化した家を建て直す家族の話し合いの場合
- 「立て直したほうがよい」:共通認識
- 「雨漏りしてさすがにヤバいね」・「そうそう」:共感
- 「DIYで直そう」・「お願い」:賛成
- 「修理箇所が予想以上ひどいので業者に頼みたい」・「そうね」:納得
ただし、家主が「わかっちゃいるけど……」のままだと、家族は共感が得られずヤキモキするでしょう。
話し合いの深度にもよりますが、共感のありかたで人間関係が左右されます。
理解はできるが共感できない人4つの特徴
理解はできるが共感できない人の特徴を4つの視点でお伝えします。
- KYとは違う
- 仕事だと冷静な判断ができる人とみられる
- 共感力はなくても経験や演技で問題なくすごせる
- 映画やドラマで泣けないので冷たい人と思われる
1.KYとは違う
状況をみて自分がどのように対処すべきか。その一点に集中しているため、周囲との調和は二の次。でも、空気が読めない(KY)とは違います。
様子をうかがいつつ、自分が理解できる状況のみを探しているため、臆病にみられがち。しかし、状況の把握はしようとします。
本人に悪気はありません。しかし、「上から目線」とみられてしまうため、周囲からは誤解をうけやすいでしょう。
理解はできるが共感できない人は、自分からまわりに溶け込んで和気あいあいのスタンスはとりません。
2.仕事だと冷静な判断ができる人とみられる
冷静な雰囲気をただよわせ、あくまで結果にコミットしようとするため、仕事ができる人とみられます。
自分の理解できる範囲での判断。本人は「これで間違いない」と考えていても、必ずしも適切な判断かどうかはわかりません。
推進力にはとてもすぐれています。ただし、独善的に仕事を進めるため、周囲とのトラブルを引き起こしやすいでしょう。
成果をあげても一時的なのが、理解はできるが共感できない人です。
3.共感力はなくても経験や演技で問題なくすごせる
これまでの経験から、共感をしているような演技で、その場をやりすごせる知恵が身についています。
共感がないため「なにを考えているのかわからない」と人にいわれがち。頭では理解していても、どうしても意思表示が連動していません。
そのため、少しオーバーアクションをしたり、無理に笑顔をみせたりして「なんとなく」まわりの人に取り入ろうとします。
共感はしていなくても、グループの輪には入っていたい。ひとまずは協調しているふりをしているのが共感ができない人の特徴です。
4.映画やドラマで泣けないので冷たい人と思われる
ドラマや映画に感情移入しないのが、理解はできても共感できない人。
自分に関係がないと思うほど「なにがおもしろいのか」となってしまうでしょう。
登場人物の感情を理解はしても共感できないため、とくに感情が交差するストーリーは読めません。
他人が涙したり笑ったりしている様子に、本人は入り込めず、まわりからは冷たい人と思われます。
なにごとも自分との関連をみる傾向にあるため、ドラマよりは最新ニュースに心を動かされるでしょう。
共感力3つのレベル
共感力が低い、普通、高い、3つのレベルをみていきます。共感力が高ければよいわけではない理由とは?
1.共感力が低い:怒り・悲しみ・感動など少ない
自分本位であり、行動・思考の軸が自分にある人ほど、共感力が低いです。
自分以外には鈍いため、どうしても自分を優先させがち。あまり人の感情に寄り添う思考になりません。
会話でも「これをいったら相手はどう思うか」に配慮がいかない場合が多く、他人を傷つけてしまうでしょう。
人の気持ちを理解しても、共感が薄いため、感動も少ないです。
2.共感力が普通:喜び・楽しいなど共感できる
ものごとをいろいろな方向からみる人ほど、自他のバランスをうまくとり、だれとでも喜びや楽しみを共感できます。
相手と適切な距離をとれる人は、共感しすぎて自分が疲れてしまう前に、共感の感情をうまくコントロールします。
相手が解決すべき問題に入り込みすぎると、ネガティブな感情も共有してしまいがち。共感しすぎない「さじ加減」を意識すれば、心地よい人間関係が維持できます。
3.共感力が高い:相手の痛みを自分の痛みとして感じる
相手がなにを考えているのかを察知できる人ほど、周囲の様子をよく観察できます。
相手が感じている心の痛みを自分のことのように感じられる、共感力の高い人です。
行動・思考の軸は他人にあるため、相手の言いたい内容を先回りでわかります。そして、コミュニケーションを円滑に回せるでしょう。
とてもモテるタイプですが、ときに自分の意見がないとみられやすく、精神的に疲弊しやすい傾向があります。
共感力が高いのはよいですが、自分と相手との一線をしっかり意識しなければならないでしょう。
理解はできるが共感できない男女の違い
男女では、人とのつながりかたに違いがみられる場合もあります。
男性同士は同意を求められることがある
男性は目的思考であり、課題の解決に向けては、相手との「同意」を大切にします。
共感だけでは解決できない場合も多く、男性同士で行動をともにするとき、重きをおくのが仲間との同意です。
命がけで獲物をとる目的を果たすための遺伝子が、そのまま受け継がれています。
共感を苦手とする男性が多いのは、そもそも共感の思考構造が先天的にないためです。
2.女性同士は共感を求められることがある
女性の最大の武器は、コミュニケーション能力。女性同士が共感を求めるのは、みずからを守るための手段です。
体力では男性にかなわないため、まわりと協調して、あらゆる困難を乗り越えようとします。
子育てに必要な親の愛情表現や、感情の表出。これらは、家族に安心感をもたらす女性の特性です。
古来より男性が狩りへ出ている間に、女性が団結して家庭を守る意味も納得できます。だから、女性にとって共感とは、安心して生きぬくための「必須の能力」です。
理解はできるが共感できない人でも俯瞰力はある
他人とは違う視点でものごとをとらえているのが、理解できるが共感できない人。だれもが気付かない面に注目している点では、状況によって俯瞰力が発揮されます。
共感によって結ばれた集団は、異なる意見を排除しやすいです。ときに盲目的になることもあります。その点、共感できない人は、ある意味で自由な発想の持ち主。多くの人々が気付かない解決策を見つけだします。
失くしたものを探すとき、意外と近くにあるたとえが「灯台下暗し」。状況を理解したうえで、だれもが見落としがちな「灯台の下」に意識がむく人です。
ふだんは共感がなく、冷たい印象をもたれます。しかし、いざというとき役に立つので、隅に置けない存在でもあります。
理解はできるが共感できない人は共感力の高い人と相性がいい
理解はできるが共感できない人のベストパートナーは、共感力の高い人。お互い欠けた能力を補い合うでしょう。
はじめは相手が理解できず「この人はムリ」となる傾向が強いです。しかし、それぞれの守備範囲がわかると、一緒にいて心地よい関係になります。
恋愛関係の場合、冷静に気持ちを伝える彼に、もの足りなさを感じる女性もいるでしょう。
共感を求め続けるのが女性です。ときに男性は不快に感じる場合もあります。
男女関係では「あるある」なすれ違いです。
古来より男女の役割は明確であり、遺伝子レベルの情報は変えようがありません。相手に求めすぎるのはよくありませんが、いずれはよい方向にむかいます。
お互いを尊重する気持ちがあれば、理解や共感にとらわれない、よい関係を維持できるでしょう。
理解はできるが共感できない人のまとめ
共感とは、コミュニケーションを円滑にするための手段。しかし、相手へ接するときに、必ずしも「共感」するかは人それぞれです。
筆者の経験上でも人間関係において、必ず共感が必要ではなく、共感できないとなにか問題が生じるわけでもないです。ただし、共感を相手に求めすぎると、少し窮屈になります。
共感力が高すぎると、相手への依存につながるので心配です。ほどほどの距離をたもつのが良好な人間関係を維持できるでしょう。
人それぞれの特性を理解し、ほどよく共感しながら楽しくすごす。その参考になればうれしいです。